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青空のあとがき

はじめて取材の為に電車に乗った。
本当はある人と会う予定だったのだけど、
無理を言ってキャンセルしてしまった。

いかにも高級そうな面構えをしたその住宅街は、
日曜日なのに何故か人がいなくって、
変に静まり返っていた。
(近くの商店街は家族連れで溢れてた)

あー、なんか遠い世界だ
自分とこの風景がイメージで結びつかない。
昔の自分も今の自分をイメージできてなかったけど。

それがもう半年前。
今にして思えばいろいろつらい時期だったかも。
徹夜もしたし、言い争いもしたし。
僕の記憶には、いまだにあの言葉が残っている。
普段は忘れているけれど。

あの頃、プラプラしていた友達は、
もうちゃんと働いていたり、
まだプラプラしていたりで、
僕は今日も日記を書いている。

だから何ってわけでもないけど、
最近、日が経つのが早いな。
もし僕にまだ時間が残されているなら、
明日も日記を書こう。

ただ、それだけなんです。

# by akatsukey | 2009-08-30 10:47 | 心のページ 

ミスドの片隅より

「ABCDEFG・・・」

10代の女の子が2人、ミスドの片隅で会話している。

 「H、I」

アルファベットが諳んじられる。

「だから、Iの前にHがあるっちゃん」

まだ、2人の間には、理解が開通していない。

「ほら、愛の前にHが・・・」

「ああ!」

もう一方の女の子と同時に、僕の頭の中でも脳内変換が完了する。

なるほど。「炊飯器の話」ってことか。



その後も、「20歳の童貞」について、
嫌悪派と擁護派にわかれ、侃々諤々の議論が展開されていた。
僕は、粉っぽいオールドファッションをホットコーヒーで流し込み、
なぜだか、無関係なのにそわそわした。

愛の前にHがあるか。
そして、Hのあとには、「純粋」すぎる「嫌悪」がやってきたり
するんだろうか?

ドッドド ドドウド ドドウド ドーナツ。
吹き荒れはしない、弱められた空調。


ミスドの片隅より。

# by akatsukey | 2009-08-13 16:09 | 日々、これ精進 

いつどこにでも在る日常

隣の部屋に住む男が、女を連れてくる。
テレビの音が極端におおきくなり、笑い声がつづく。
「もう」とか、「ちょっ、ちょっとまって」とか、言い出す。

向かいの部屋に住む男が、対抗心を燃やす。
テレビの音が極端におおきくなり、あえぎ声がつづく。
「もう」、とか、「ちょっ、ちょっとまって」とかのやつを、見ている。


ろくでもない住処の均衡。


隣の部屋の、女が帰る。
男は見送り、ドアが閉まる。
やがて、テレビのボリュームは絞られ、沈黙がはじまる。

 向かいの部屋の、男が叫ぶ。
「おーい、おーい!!!!」と、懸命に。
おおよそ1人でいるはずで。
やがて、胃の中の内容物は絞られ、嘔吐がはじまる。
ぶぉえー、どぶぉるぇ~。


部屋から1歩も出なくても。
部屋を1歩も動かなくても。
届く現実、進行形。


時刻は、火曜の朝、午前一時。
起こしてくれるな、夜長のアナロジー。

# by akatsukey | 2009-08-11 01:15 | 日々、これ精進 

I'm yours

Jason Mraz -I'm Yours (live)



この曲については、様々なカバーバージョンが出ているけど、
やっぱり、原曲がストレートに耳に馴染む。うん。

アレンジが原曲以上に多彩さを放つってことは、
原曲のクオリティの引き出しが多いってことだ。
それは生まれながらに透明性を持ちながら、
アレンジされるであろう未来形を既に予感している。
ひとつの歌が生まれ持った未来への可能性は、
それ自体が意思を持つかのように、
聴くものの心を掴んでは自らに開放する。

まるで、空気中のプラズマが反射してつくる、虹のように。
ひとつの卵からできる、卵焼きや目玉焼きのように。

休日の午前中、パラミサンドでも作りながら、
この曲を鼻歌で口ずさむ。

さて、一日をどうアレンジしようか?

# by akatsukey | 2009-04-14 23:30 | 音楽を聴いてみた 

波うちぎわの人生

SOFFET/人生一度



以前、仲の良かった友達がいた。

ある日、僕は、彼の住んでいる街へと遊びに行った。
急行電車で30分ほどの街だ。
久しぶりの再会を果たした僕らは、開店したばかりのショッピングモールの中で
食事をし、スターバックスでブラックコーヒーを飲んだ。
夜は、電車で移動し、彼のところに泊めてもらった。

僕らはたしかに、たくさんの会話を交わした。
近況、共通の友人について、思い出話や、女の子の話。
用意してあったネタを使い切り、新たに使えそうだと思った話題でつなぎ、
語り終えたあとの余韻に、あいづちを打った。

やがて。
やんわりと、受け止めるところとなった。

「もう、僕らが今後、こうやって会うことはないだろうな」

帰りの電車を駅のホームで1人待ちながら、僕はぼんやりと思っていた。
再会した彼は相変わらず、まっすぐで、自分に厳しく、人には思いやりがあり、
とてもストレートな人柄だった。
昔と、さして様変わりした点は見つけられなかった。
しかし、すでに、以前とは決定的にお互いが変わってしまっていた。
時間の経過は、かみ合わない会話に、取り繕いの沈黙の深さに、
色濃く反映されすぎていた。
「友情の終焉」なんて、大げさだ。
頃合だった。それだけだ。

夜。
就寝間際、ぽつぽつと、まだ話をしていた部屋に流れていたのが、
この曲だった。
CDコンポの液晶部分が、電気の消えた部屋で、青白く
発光していたのを覚えている。

ダイジェスト。
人生は、この曲のように、5分にも満たないダイジェストなのかも
しれない。
余計な場面はカットされ、泣く泣くいくつかの名場面をカットすれば。
編集された一連の淡々とした流れは、あっけに取られるほど、
起伏のない、のっぺりとした、ありふれた総集編。

彼に、教えてもらったんだと思う。
翌日。
僕は、この曲を、レンタルショップへさっそく借りに行った。

1秒を、カウントする。

# by akatsukey | 2009-04-13 22:59 | 心のページ 

病はネギるに限る

風邪をひいてしまいまして、くしゅんっ。
仕事中に、「あれ?おかしいな?」と思ったが最後、部屋に戻った途端に
悪寒が駆け抜け、布団の中で丸まってたんです。
幸い、実家から食料が送られてきた直後だったので、少しずつ食べながら、
葛根湯を飲み続け。
ようやっと、立てるくらいには戻ってきたようす。

しかし。
「一人暮らしで風邪をひく」っというシチュエーションは、
いやが上に、人を哲学的にさせる。
すくなくとも、僕はそう思った。
これは年齢を重ねるにつれて、ますます、強くなる傾向なのかもしれない。

まあ「哲学的」といってみたところで。
体系づけられてもいないし、事後的に検証することさえ不可能で、
瞬間風速的な開眼の契機みたいなものが、散発的にやってくる種のものに過ぎないが。
布団の中で、体を折り曲げて、「ああ、なるほど」「ふむ、そうだったか」だとか。
独り言を言ってましたしね。
何に得心がいったのか、さっぱり思い出せないけれど。
 
こういうシチュエーションの場合。
「女の子がやってきて、お粥を作ってくれる」
なんてことを、無意識のうちに求めてしまうもんですが。
でも、実際のところは。
風邪くらいのレベルは「自分自身で引き受けなければならない時間」だと
思っているので、ほんとは、誰にも来て欲しくない。
誰も、来ないだろうさ、うむ。

よって、ここは。
「体は弱々しく、妄想だけはたくましく」。
これこそが、「一人暮らしの風邪ひき男」の鉄則でありましょう。同士諸君。
「お粥、作ってあげるね」とか、なんとか。
ビニール袋をちょいと抱えて、さっそく準備に取り掛かる様子なんかを
妄想するのは「世界平和を希求」するがごとく、
愛と理想に満ちた美しさの極地。
さらに、ビニール袋から、「ねぎ」がはみ出ていたりしたら、もう、
僕は生涯、他人への悪態を徹底的に排除することだろう!
「ねぎ」と「他人への悪態排除」に因果関係が、これっぽっちもなくとも。
ねぎの魔力は、過小評価すべきでない。

まだ、風邪特有のもや~っとしたあの感じが、
鼻腔に張り付いているけれど。
一人暮らしにおいて、風邪をひくこと。
これさえにも、哲学的な自省と、妄想力の醸成に一役買うこと間違いなし。
こういう言い回し、表現に違和感を覚える人は。
友達を大切にし、家族との関係を密にし、いい恋愛を通じて、
素敵な相手を見つけることをお勧めします。
なぜなら。
孤独を通じてわかるものはあっても、孤独だけで生きていくことは、
ほとんど無理だから。

金八っつぁん風なオチがついたところで、
では、おやすみなさい。

# by akatsukey | 2008-12-01 21:39 | 雑感 

傘がない、コミュニストは歌う

また、傘が盗られた。
何度目なんだろう?
少なく見積もったとしても、6本か?
現場検証、即、撤収。すべて、スーパー也。

傘代は、バカにならない。
100均のは、使い物にならないことを知っているので、
せめてと思い、コンビニで買う。
500円はする。
本来なら、払わなくてもいいお金に違いない。
僕は、生粋の傘マニアではない。
女を変えるように、傘を変える。そういう類の男ではない。
いたたたった・・・。

対策として、持ち手の部分の曲がったところに、
赤の油性ペンでラインを2本引いた。
(以前、1本引いたのが盗られたんで、もう1本足しておいた。なんとなく)
「しるし」(BY村上春樹)であり、呪詛を秘めたカウントとしての、赤。
それが、どうだろう。
帰り際、人数分以上に残ったまんまの傘立てからは、赤い、2本ラインの
入った傘は、さっぱりなくなっていた。愕然とした。
仕事帰りに買った5kgの米を抱え、雨に濡れながら帰った。
寒かった。

おそらく、時間帯として、終電近くまで仕事をしているから、
盗られる確率も高くなるのだろう、きっと。
地方都市の風習として、「傘は皆の共有物」だなんて
暗黙了解でもあるんだろうか?
少なくとも、僕は、そういう了解事項に署名する気はさらさらないな。
潜在的にはもしや、コミュニストの集まりなのか?
「雨よけ手段の共有化」か。
「高級傘でも、コンビニ傘でも、雨をしのげる傘はいい傘だ」ってか!?

僕は、半額セール中のスーパーなんかで、日和見主義な
コミュニストになんか、なったりしたくはないのだ。
革命は真夜中に起こるのであり、安売りセールに託けたおまけなどではない。
『傘がない』と歌い終わったら、さあどうする?
ファミマヘ、7本目の革命分子を調達しに出かけるか?
それには、歌がない。
ここは、待つしかないのだろう。ひどくむなしい雨上がり。
前倒しで、太陽の光を吸収だ。
I'm gonna soak up the sun.

# by akatsukey | 2008-11-16 21:10 | 雑感 

ちいさな秋に見つけられて

九州で放送作家として活躍しておられるK氏の言葉。
「若さというのは何よりの宝物です。
人生の財産目録をたくさん持ち、たくさん捨ててください。」

氏と初めて接触したのは、昨年のこの季節だった。
とあるテレビ局関係者からの紹介を受け、
那珂川を見下ろす水炊き屋に、氏は僕らを招き入れてくれた。

初めてお会いしたときから、この言葉が耳に焼き付いて、離れない。
秋風が頬を掠めるたびに、氏の優しい語り口が鮮明によみがえる。
僕はひとりの「若者」として何をもち、何を捨て、何を願うのだろう。

僕は、様々なものをもっている。
たとえば、肉体。
また、僕は夢をもっている。
果てしない欲望も持っている。
暴力ももっている。
不安ももっている。
心ときめく恋人をもっている。
世界をもっている。
自恃をもっている。
敵をもっている。
歌をもっている。
世話好きのおふくろ、涙もろい親父をもっている。
空っぽのさいふをもっている。
限りない青空をもっている。
そして、死への誘惑をもっている。

すべてが財産であり、すべてが思い出すようになるのならば、
若さとはとても美しいものに違いない。

# by akatsukey | 2008-10-21 23:29 | 心のページ 

秋らしく、秋のうた④

海援隊 思えば遠くへ来たもんだ


作曲が、ふきのとうの山木さんということもあり、イントロ部分なんかは
朴訥でありながら郷愁を誘う点で、民謡を連想させます。

思えば遠くへ来たもんだ。
中原中也「頑是無い歌」、ここからヒントを得た曲なんだろうなと
思っていたけれど、Wikipediaによれば、武田鉄也は
完全に自分のオリジナルだと発言しているみたいですな。
うーむ、そうですか。

こうやって、自分の来し方行く末について思いをめぐらせる歌は、いいものですね。
これに、もっと、ぶっきらぼうで無骨な味付けをこしらえると、
これまた名曲、吉田拓郎の「旅の宿」になるのだろう。
「いつの間にやら行き着いた自分」を語る際、「女房」や「子供」といった、
獲得せしもの=所帯じみた言葉がちりばめられているのも、
かの時代の特徴でしょうね。

「思えば遠くへ来たもんだ」には、家族、親友、恋人とも
分かち合うことのできない、時間が育んだ自分への自覚が歌われていて。
別名、「哀愁」と呼ばれるそれに、秋を感じてしまうのです。

# by akatsukey | 2008-10-20 00:19 | 音楽を聴いてみた 

秋らしく、秋のうた③

Barrington Levy - Don´t throw it all away


前エントリーに引き続き、「Don’t~」シリーズ。
「○○するな」と言うのは肯定的に使用されるケースが多いんだろうけど、
やってはいけないことを潜在的に想像してしまうのが良くない気がする。
タバコをすうな、酒を飲むな、といわれると、どうしても
それを「やっちゃってる自分」の光景がまず自分の頭をよぎるのです。
それを否定するんだから、なんとも疲れるし、気分も余計に滅入る。

閑話休題。
この曲はタワレコにいくと、レゲエのコーナーにマッピングされているんだけど、
秋の散歩道で聞いても、すっと胸に落ち着く佇まいを装う。

曲名のとおり、「全てを投げ出してしまわないでくれ」とは、
夏の日の残像にすがりつきながら冬の到来を予期する男の、
持て余した感情を見事に歌い上げている(笑)
恋愛とは時代も国境も超え、いつの日にも残酷で惨めなものなのですね。

「Please stay…」
人は失うもの、去りゆくものだけに惹きつけられる。
大切な人、お金、情報、そして季節も。

秋の夜長には八畳の部屋で7inch版のレコードに針を落とし、
陽気なリズムに揺られながら過ぎ去った「あの頃」を思い浮かべ、
過去の分岐点の道標を確かめるのです。


# by akatsukey | 2008-10-19 01:58 | 音楽を聴いてみた 

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